・長期休暇明け、子供は義母にみてもらい、久しぶりの出社。本当はこのタイミングでは、妻は退院しているはずだった。
・朝、会議室で上司に現状を伝える。入院、手術のことは伝えていたが、ここまで大変だとは伝えていなかったし、私自身も思っていなかった。想像以上に状態が悪くまだ入院しており、退院が先になること、それから抗がん剤治療が半年ぐらい続きそうなこと、子供の対応も必要があること、などを伝えた。
・理解のある上司であり、家族を最優先にし、原則在宅勤務とすることを相談した。コロナで在宅勤務環境が整っていることが幸いした。ただ、出社をする方が良いと思う空気が強い職場であり、私自身もこれまでは出社が前提であった。
・自身の評価やキャリアの断絶、他の人にどう思われるか、仕事自体が続けられるだろうかなど、さまざまな不安が尽きなかった。ただ、自身も仕事に関する価値観が変化していることに気づいた。家族あっての自分であり、仕事は自分がいなくても何とか回るが、家族のために本当に動けるのは自分しかいない。
・どこまでの人にいうのかというのは、結構悩んだ。直接迷惑をかける、自分の部下にだけは、自分の口から、妻の病状を伝え、これから在宅勤務が中心になることを伝えた。本当に優しい言葉をかけてくれて、感謝につきる。他の人には、自分からはあまり言わなかった。変に同情されるのも嫌だったし、逆に気をつかわせてもな・・・というのがあったので。ただ、逆に言ってないと、仕事に対して無責任な人と思われる気がしたり、妻が妊娠していると思っている人もいるようであった。
・今思えば、被害妄想なのだが、仕事で自分のいないところで、物事が進むこともあって、自分の存在が薄くなっている気がして不安になったこともある。むしろ、みんなは気をつかっていただけなんだが、どうしてもマイナスにとらえてしまう自分がいた。
・あとは、会社の懇親会や接待には、まったく参加できなくなった。コロナで懇親会が全くないときはそうでもないが、いつも断ったり、自分だけが参加しないとなると、やきもきする部分があった。なんだかんだ、飲み会とかやっぱり、一気に仲良くなれる。
・いい面も不安な面もあったが、結果的に、自身としては、この働き方になって、ある意味よかったと思っている。仕事の進め方は工夫するようになったし、なかば強制的に人に任せるしかないというマネジメントができるようになった。ただ、働き方や時間的な制約より、本当に迷惑をかけた方もいる。本当に申し訳ないが、そこはやむを得ないと割り切るしかない。
・何より、子育てや介護などで働く人の気持ちがよくわかったし、今後、やさしくできると思えるようになった点は収穫だったと思う。そういう会社や世の中にしていきたいとも強く思うようになった。