自転車で一周して、ゴールが見えてきた頃、だんだと淋しくというか、虚しくなってきた。なんのために自転車で日本一周したんだったけなとか、
終わったら何も残らないなーとか。次は最後という日の夜、テントの中で、旅の途中で出会ったおじいさんを思い出した。
ずーっと日本を自転車で旅してるらしく、たまに新聞に掲載されたりしているらしい。新聞に載ると、何より親が喜びそうな気がした。朝早く起きて、出発した地元の県に入った。
コンビニで地元の地方紙を見て代表電話を入手した。そして、代表電話に勢いで電話してみた。「自転車で日本一周して今日ゴールします。取材してくれませんか？」こんな怪しい電話無視されるかと思いきや、「担当にお繋ぎします」と保留音がなった。「お電話変わりました。自転車日本一周ですか。いまから、
新聞社までこれますか？」と思いがけない反応。「たぶん、3時間後ぐらいにはつくと思います」と答え、
そのまま新聞社に向かった。新聞社につくと、若いお兄さんがインタビューしてくれて写真を撮ってくれた。
本当に掲載するかどうかは、わからないらしい。数日後、「明日のりますよ！楽しみにしててください」と電話があった。次の日、新聞を見たら本当に載ってた。しかも、写真付きで、結構大きい記事。
メチャクチャカッコよく書いてくれている。親は何部かまとめて買ってた。やっぱり嬉しかったみたい。喜んでくれて良かった。後日談であるが、近所の良く行くコンビニの入り口で新聞記事が貼ってあり、
この人は常連です！って書いてあった。嬉しいのだが、全く話もしたこともなく、いとも深夜に立ち読みばかりしてたから、
覚えられてたのかな。ちょっと恥ずかしくなり、そのコンビニには、しばらく行けなかった。
